適用する法律は日本の法律か現地の法律か、裁判所は日本か現地か?
海外との取引には英文契約書を取り交わすのが普通です。英語圏との取引ではなくても外交と商取引に用いる言語は多くの場合英語です。今日はちょっと専門的ですが英文契約書の中で極めて重要な事項の一つである「裁判管轄」を取り上げます。
裁判管轄とは契約に関して訴訟を起こす場合にどこの裁判所で裁判するのかという問題です。例えば裁判管轄を相手国の裁判所でするとの合意があれば、多くの時間と莫大な費用がかかります。ですから裁判管轄をどこにするかは大問題です。安易に妥協はできないわけです。「うちはそれほど大きな取引をしてないから。」と聞こえてきそうですが、規模の大小を問わず海外と取引をするにはこうしたリスクまで考えておいたほうが良いということです。
これは就業規則にも言えますよ。海外に支店や出張所があるところは現地用の就業規則を作ってあるでしょうが就業上の争いが起きた場合のことは考えておく必要があります。すなわち適用する法律は日本か現地か、裁判所は日本か現地か。現地には現地の法律や裁判所を指定する強行法規もありえますが、それは仕方がないとして、基本的にはあらかじめ決めておくべきです。