ネット情報の弱点
今私たちは何かを調べようとするとき、まずインターネットに飛びつきます。ネットは大変便利です。調べたいことが即座にわかります。日々更新されるウィキペディアなどは百科事典以上の情報量と検索の簡便さ、そして情報の新しさを誇ります。情報提供の即時性では新聞をしのぐことでしょう。誰でもが自由に真新しい情報を書き加えることができるからです。
一方で、ネットの情報には極めて大きな弱点があります。情報が必ずしも正確ではないことです。むしろ疑ってかかったほうが良い情報が氾濫していると言っても過言ではないはずです。私たちは知らず知らずのうちに画面に映る内容を真実であると錯覚してしまう癖がついているようです。新聞の記事は事実、テレビの内容は事実、同じようにネットの内容は事実。そうではありませんね。例えばテレビのドキュメント番組でさえも意図した結論に導くために、都合の良い側面だけを集めたものであることが多いようです。ましてや誰もが自由に発信することのできるネットにはいわくのある情報が多いことは容易に想像がつきます。
やはり、情報を得るには、先ず図書館で時間をかけて調べる癖、アナログを用いるという検索の基本的な方法を知ることが大事だと思います。その過程で真偽を見分ける目が養われます。その上でデジタルに入ればよい。
例えば、言葉の意味を知りたいときには、特にアナログの辞書つまり従来からある分厚い紙の辞書を引くことの大切さは論を待ちません。アナログの辞書には目的の単語の他に似た単語や仲間の単語が見開きにたくさん載っています。こうした単語をついでに眺めることがどんなに語彙力を高めるのに役立つことでしょう。せっかく辞書を引くのですからできるだけ多くの周辺情報を得た方がよい。これができるのは紙の辞書ならではです。これに対し、電子辞書では目的の単語しか画面に映りません。これではもったいないですね。日本人の読解力が落ちてきたのは便利さにかまけ、紙の辞書を引くという小さな努力を怠ったことにも関係があるかもしれません。紙の辞書の重さは歴史のフィルターを通って歴史が引き継いだ知識の重さです。アナログの大切さを見直しませんか。